日本全体の高齢者比率が30%に近づこうとしています。
相続で不動産を売却する
相続前に不動産を売却しておきたい
という不動産売却のご依頼は以前より増えています。
その際、不動産の所有者が高齢なかたで、その親族のかたが代理で売却を依頼してくるケースが多々あります。
この場合、宅建業法上売却のご依頼を受けるために「媒介契約」を締結します。
その後、買い手が見つかれば「売買契約」となります。
「媒介契約書」「売買契約書」ともに所有者本人である必要があります。
そこで、、、
所有者本人に「判断能力があるか否か」が問われるわけです。
親族のかたからすると、「自分の親だし元気だから大丈夫!」ということで売買契約まで親族のかたが代理で締結。
そして不動産登記変更をする際、法律家(司法書士)が
「所有者本人の意思が定かでないので登記はできない」となるのです。
今、弁護士、司法書士には高齢者の取引に対して講習会や勉強会などが頻繁に行われていて、
所有者本人と面談をおこない意思決定が可能か、判断能力はどうなのかを確認するよう指導されているようです。
法律家の中には仕事が欲しいため、所有者本人の意思確認は一切おこなわずそのまま登記までする人もいるようですが、不動産を引渡し後に、所有者本人が
「不動産を売却するなんて言っていない」
と言い出すこともあるようです。
この場合、売買契約は「無効」となる可能性が非常に高いです。
当然買主さんとの間で違約金だ、損害賠償だ、となってしまいます。
このため、高齢のかたが所有者で、少しでも判断能力が鈍っていると思われるのであれば、売却を進める前に「後見人」を立てる手続きを裁判所を通しておこなう必要があるのです。
不動産は高額な商品ですし、後からトラブルになると裁判にまで発展することもありますので、所有者のかたの代理で不動産を売却する際には充分な注意が必要です。
下記に法務省の「成年後見制度」のページを載せますのでご参考にしてください。↓↓↓
法務省 成年後見制度
成年後見制度には以下の2つのタイプがあります。
「すでに判断能力が低下している人のための法定後見制度」
「いまは元気だけど将来的に判断能力が低下した場合に備えるための任意後見制度」
この手続きはご自身でもできますが、かなり手続きが煩雑なため弁護士または司法書士に依頼するほうがいいかもしれませんね。
もう少し付け足すと、後見人の手続きが完了して不動産を売却する場合、売却する旨を裁判所に書面で伝え、承認を得る必要があります。
また、売買契約が成立したら、売買契約書を裁判所に提出して「売買価格が適正かどうか」判断を仰ぎ、承認してもらう必要もあります。
後見人の手続きが完了して不動産を売却する際は、引渡しまでかなり期間の余裕をもって進める必要があるのです。