査定価格の算出方法は3パターン
①「原価法」・・建て直した場合の費用を算出する
「原価法」はまず、対象となる不動産を土地の取得も含めて、もう一度建てるといくらかかるかという考え方で価格(再調達原価)を算出します。
その価格から、建築後の経過年数に応じた価値の低下分を差し引いて(減価修正)、現在の価格を割り出します。
また、建物の価値は築年数が経つにつれて減少しますが、リフォームによって価値は上がります。 こうした点も考慮して、現在の不動産の価格を算出するのが「原価法」です。
しかし、現状では、中古住宅の建物価格は、ひとつひとつの住宅の価値に合わせて算出されるのではなく、築10年なら新築の半分、築20年を超えると価値はゼロなどというように、おおまかに割り引いて算出されています。※1
私がこの算出方法を使うケースは戸建に限られ、ベースとなる金額を 「原価法」で計算し、後述する③の「取引事例比較法」で加減しています。
※1.国土交通省では平成26年3月に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定し、中古戸建て住宅の流通市場における「築後20年から25年程度で一律に市場価値がゼロになる」とされる取引慣行を改善し、住宅の性能やリフォームの状況等を的確に反映した評価がなされるようにと告知しました。
大切に住まわれたコンディションの良い住宅は、プラス面が反映されやすく、私が査定を行ったケースで築30年超の木造戸建てにおいて、利用価値に応じた査定額を計上したことがあります。
②「収益還元法」・・賃料をベースに割り出す
不動産を個人や企業に貸すと賃料を受け取ります。
その賃料から不動産の価格を割り出すのが「収益還元法」です。
単純な数字に置き換えてみてみましょう。
たとえば、月額賃料20万円で賃貸に出すことができるマンション(不動産)の場合、5%の投資利回りを得たいのなら、価格は4800万円(20万円×12ヶ月÷5%)となります。
実際には、マンション(不動産)の維持費や売却した場合の価値を差し引いて考えなければなりませんが、考え方のベースは賃料です。
主に投資用のマンション(不動産)の妥当な価格を算出するときに使われる方法です。
③「取引事例比較法」・・周辺相場から算出する
中古住宅の売買で、実際に多く取り入れられているのが「取引事例比較法」です。
住宅価格の査定を依頼すると、不動産会社は築年数や建物の状態なども加味しますが、必ず参考にするのが売主のマンション(不動産)と似た条件の物件の成約価格です。
つまり、不動産会社は取引事例を調査し、最終的な査定価格を割り出します。
居住用マンションの査定方法は?
一般的には、居住用マンションを売却の際に査定を依頼することが多く、私が担当する案件の半数以上が居住用マンションの査定です。
この場合、「近隣の不動産などの取引相場や売出し事例から算出された価格と比較」する、「取引事例比較法」を利用します。
次回は、不動産査定で最もポピュラーな査定方法の「取引事例比較法」について、お話しします。