家賃を滞納されたら何から始める?督促状・内容証明書郵送から家賃回収までの全体像を知ろう

家賃滞納されたらすぐに督促をしなければいけません。

そして、電話での督促、督促状の郵送など、すべての督促の内容を必ず証拠として残しましょう。
証拠は以下のような内容を残して下さい。

これは家賃滞納額が増えて法的措置をとる際の絶対的な証拠となります。

オーナーさんの中には、
「まだ1ヶ月だし入居者に悪いから督促はしなくていいか」
と家賃滞納者に遠慮をして督促をしないかたもいらっしゃいますが、家賃滞納は初動が大事ですので必ず督促をしてください。

ステップ1:電話による督促

1回目は電話で督促を行います。

忙しくて家賃を払いに行けなかった
つい忘れてしまった
という悪意のないかたに、突然督促状を書面で出してしまうと良好な関係がくずれてしまう場合がありますので注意が必要です。

ステップ2:督促状を送る

家賃滞納者が電話に出ない場合や、なかなか家賃滞納者がつかまらないとなると黄色信号です。

この場合は電話ではなく書面で督促状を出します。
督促状の書き方は後述します。

ステップ3:内容証明書を郵送する、家賃滞納者を訪問する

家賃滞納者に督促状を出しても連絡がない、家賃の支払いがない場合は、内容証明書を作成して郵送します。

内容証明書を利用するのは「受け取りの証拠」を残すためです。

督促状はオーナーさんから督促状を「送った」という事実にはなりますが、家賃滞納者が督促状を「受け取った」事実を証明できません。

そのため、内容証明書を郵送して受け取りの証拠を残します。

内容証明書の書き方は後述します。

また、同時に家賃滞納者宅を訪問しましょう。
電話に出ず、督促状を送っても連絡が取れない人でも訪問するとすんなりとお話ができるケースが多々あります。

ここまでは「交渉による家賃滞納の督促と回収」になりますが、この後は、法的手段により進めていくことになります。

法的手段の流れ

家賃滞納者に対して

ここまでして連絡が取れない場合や家賃の支払いが無い場合は賃貸仮契約解除の効力が生じますので「契約解除」を求めます。

次に「家賃滞納額の請求」と「明渡し訴訟」の提起をおこないます。

最後に「強制執行手続き」の順になります。

法的措置の内容については別章で詳しく説明します。

これだけはやってはいけない!家賃滞納の督促をする際の注意事項

法的措置を取った際にオーナーの方が不利になってしまうことがありますので、家賃滞納者に督促をする時は、絶対に以下の行為はしないようにしましょう。

  1. 早朝や深夜の督促行為(午後9時~午前8時)
  2. 勤務先や学校への督促行為
  3. 連帯保証人以外への督促行為(親族もダメ)
  4. 同日に何度も督促を行う行為
  5. 玄関やポストに張り紙をするなど、入居者の滞納の事実が周囲の人にわかってしまう行為
  6. 鍵のロックや交換、家具などの処分や搬出
  7. 正当な代理人以外の者に督促をさせる行為

そしてもう1つ。
感情的にならないこと

家賃滞納者も人間ですので、オーナーさんや管理会社が感情的になってしまうと相手も感情的になってしまい、
まとまるものも、まとまらなくなってしまいます。

正当な方法で冷静にすすめていきましょう。

家賃滞納時の督促状雛形(テンプレート)

この章では家賃滞納時の督促ひな形(テンプレート)をご紹介いたします。

家賃滞納督促状書式(1回目)

家賃滞納が1回目の場合は、

など、悪意がない場合が多いため、1ヶ月目はやんわりと督促を行います。

家賃滞納督促状書式(文例)

家賃滞納督促状 1ヶ月

家賃滞納督促状書式(2回目以降)

上記を家賃滞納者に督促したにもかかわらず、家賃の支払いがない、連絡がこない時は
故意に家賃滞納をしている可能性が高いため、やんわりした督促状ではなく、直接家賃の支払い
を求めるきつめの文章にします。

家賃滞納督促状書式(文例)
家賃滞納2回目以降

家賃滞納の督促状の次は内容証明(郵便)を送ろう!

家賃滞納者に督促状を出しても家賃の入金がない、連絡が取れない場合は内容証明(郵便)を送
ります。

内容証明とは

内容証明(郵便)は聞きなれない又は利用したことがない方が多いと思いますので、内容証明に
ついて簡単に説明致します。

内容証明(郵便)とは、郵便局(郵便事業株式会社)が手紙の内容を公的に証明してくれるもの
す。
手紙(督促状)を送った際に相手方(家賃滞納者)が

というようなことを言わせないために、手紙に証拠力つけるものになります。

つまり、郵便局が手紙の証人になってくれるわけです。

内容証明郵便の料金は手紙の枚数などにより異なりますが、督促の際ですとおおよそ
1200円~1500円になります。

ここでもう1点。

「配達証明」というものがあります。
配達証明は相手に〇月〇日に配達したのかを手紙の差出人に証明してくれるものです。

内容証明を出した、という証拠が残っても相手が受け取ったことが証明されなければ意味があり
ません。

配達証明は郵便局で内容証明を出す際に、配達証明にして欲しいと依頼すればそれでOKです。
配達証明料は310円です。

家賃滞納者に内容証明を送る際は、必ず配達証明付きで出すようにしましょう。

内容証明郵便 が証明してくれるもの 手紙を出したこと 手紙を出した日付 手紙の内容 ※
配達証明郵便 が証明してくれるもの 相手が手紙を受け取ったこと 手紙を受け取った日付

※その内容の手紙を送ったという事実の証明であり、書いてある内容が正しいかどうかは証明しない。

家賃滞納者に郵送する内容証明ひな形(テンプレート)

ここでは家賃滞納者に内容証明を郵送する際の内容証明のひな形や決まり事をご紹介します。

用紙・封筒 自由
用具 自由 手書きでもワープロでも可 手書きの場合ボールペンでも鉛筆でも可(鉛筆は好ましくない)
形式 (1)1枚の紙に520文字以内
縦書きの場合1行20文字以内26行以内(一般的)
横書きの場合1行20文字以内26行以内(一般的)
1行13文字以内40行以内
1行26文字以内20行以内
※1文字でもあれば1行となり、空白の行はカウントされない(2)同文の手紙を3通作成します(カーボン複写やコピー)
理由・・・・・1通 相手方に郵送
1通 郵便局保管
1通 あなたに返却
文字 日本語表記
枚数 自由
訂正方法 決まりがあります(二重線で消す)
訂正したら「〇字削除」「〇字加入」「訂正〇字」「削除〇字」のようにどこに何字を訂正したのかわかるように欄外に記入する
同封物 対象の手紙以外不可

家賃滞納時の内容証明例文

家賃滞納者に「賃料の督促をする」際の内容証明の例文をご紹介します。

内容証明例文
内容証明 督促 書式

次に家賃滞納者に「賃料の督促と契約解除」を同時にする場合の内容証明の例文を紹介します。

内容証明例文
内容証明 督促 契約解除通知 書式

ご参考にしてください。

家賃滞納者に内容証明を送ると家賃を払ってくれるのか?

家賃滞納者に内容証明を送ると、家賃を支払ってくるケースが多いです。

内容証明が届けば
「滞納していたことが大ごとになりそうだ」
という心理が家賃滞納者に働き、滞納家賃を払おうとするのが通常です。

しかし、家賃滞納者に内容証明を送っても、何事もなかったように住み続ける人も居ます。

また
「家賃を払っていなくても賃借人には居住権がある」
などと言ってくる人もいます。

更に、内容証明が届き、家賃を滞納した事実は素直に認め、
「オーナーさんに対して申し訳ない」とは思うけれど、
実際にお金がなくて家賃が支払えず、引越し費用もない、という人も居ます。

このように様々なケースが考えられますので、内容証明を通知するのと同時に、法的措置を講じていくことも視野に入れながら進めていくことがベストです。

家賃滞納者に内容証明を送る意味と効果は?

家賃滞納者に内容証明を送る意味と効果は3つになります。

1 文書の送付を公的に証明することができる

内容証明で郵送することにより、

が証明できます。

更に配達証明であれば

が証明されます。

2 家賃滞納者に対して心理的な圧迫を与える効果がある

内容証明郵便はオーナーさんからすると、
「滞納家賃を支払わない場合は法的措置も辞さない」
という強い意志の表れでもあるため、家賃滞納者に対して相当の心理的圧迫を与えることができ
「滞納家賃を支払わなければ」という行動を促すことができます。

家賃滞納者が内容証明を受け取る際は受領印が必要なため、これまで督促をしても支払いがな
かったり、話し合いがなかなか進まなかった場合は、内容証明が非常に効果的です。

3 訴訟時に証拠の効果がある

訴訟を起こす場合には、今まで家賃滞納分の督促をしてきたことや、契約解除の意思表示をした
ことの証明が必要になります。

内容証明はいざ法的措置を講じる際の絶対的な証拠となります。

内容証明を含め、今まで督促をしてきた書類は保管しておき、督促状況を時系列でまとめておくこ
とが、後になって効力を発揮することになります。

まとめ

家賃滞納は賃貸経営にとって最大の敵であり、オーナーさんにとっても心理的な苦痛となってしま
うものです。

この章では家賃滞納をされた際の
督促状のひな形や
内容証明のテンプレート
についてご説明をしてきました。

家賃滞納がないことが一番ではありますが、いつの時代も家賃を払わない不良入居者はいるも
のです。

この数年では賃貸住宅の過剰供給と人口の減少などが重なり、全国的に空部屋が増えている
状況です。
早く空部屋を決めて満室にしたいお気持ちは重々理解していますが、せっかく入居した賃借人が
家賃滞納をしてしまっては、収入が入らないどころか、余計な作業や心理的苦痛が増えてしまい
ます。

かといって入居審査を厳しくすれば入居率は下がってしまう、、、

難しい問題です。

家賃滞納をされてしまった場合は初動が大事!ということを常に心がけてください。

安定した賃貸経営ができることを心から願っております。